「木村政彦はなぜ力道山を殺さなかったのか」という本です

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今まで読まなかったのがバカみたいです。
力道山の時代のプロレスというものを
正確に理解しておらず、「力道山VS木村」
といったって、別に興味がなかったのです。
ただ、ブックオフにて投売りされており
まあ、一度ぐらい読んでみるか、なんて
軽い気分で購入してみましたが
久々に衝撃を受けまして、文庫で上下巻、
分厚い内容なんだけど、通勤電車内だけで
読むのがじれったくて、寝る前とかも
延々と読んでしまいました。
とくにラストにかかるあたりでは
不覚にも目頭が熱くなってしまいましたよ。

最強とよばれた、木村政彦であります。
日本柔道界だけでなく、世界中のあらゆる
格闘技、それこそなんでもありのルールでも
間違いなく最強の一人。全盛期時代に、
それこそヘーシンクや山下、斉藤といった
最強の柔道家とあたっても勝つのは当然として
「相手は何分もつか」が議論されるぐらい強い。

他の格闘技でも、マイクタイソンやヒクソン・グレーシー、
ヒョードルなんかと戦っても、間違いなく
圧勝すると思います。
まあ、それぐらい常識を超えたレベルにいた人で
ある事は、この本を読めば充分理解できると
思います(笑)

ちなみに私は総合格闘技というか
真剣勝負を掲げている競技は
あまり好きではありません。
「なんでもアリ」というのも、よくわかりません。
ルールなし、なんでもアリといっても、
「なんでもアリ」も一つのルールです。
極端な話、なんでもアリなら凶器使っても
いいと思う。地面がマットなのか、アスファルト
なのか、それこそ砂場なのか、でも違うし
プールの水の中とかでも変わってきます。
単純に比較できません。
それに観客がいる時点で、真剣勝負には
やはりならないのが持論です。

真剣勝負なんて見たくないです。
それよりも「真剣にショーをする」プロレスの
ほうに魅力を感じます。
「シュートを超えたものがプロレスである」と
ジャイアント馬場さんの名言が残ってますが
ホント素晴らしい言葉ですね。

最強とよばれた木村政彦は力道山と
プロレスの試合をして、騙し討ちにあい、
無残にも惨敗しました。
日本中が注目した試合であり、視聴率が
100%(!)のテレビ中継で木村の無残な
姿が全国に伝わり、力道山はそこから
まさに天下統一といった流れになってきます。

今も議論されていますが、あの勝負は
もともと台本のあるプロレスでした。
1本目は力道山、2本目は木村、3本目は
時間切れの引き分け、そんな感じで
勝ち負けを繰り返しつつ、全国を巡業する
予定だったのですが。
木村の急所蹴りに力道山がキレた、とか
もともと台本を無視するつもりだったとか
いろいろありますが、本当の意味で真相は
解りません。
完全に「しとめる」つもりで力道山が
パンチを繰り出し、張り手の応酬、。
「これはプロレス?ケンカ?」なんて
感じで半信半疑のまま意識が
飛んでしまい、あのような感じに
なってしまったようです。
木村は最後までよく理解できないまま
終わってしまった感じです。

当たり前ですが、この本の著者の増田さんは
木村政彦が好きなんですよ。どうしても
木村政彦の名誉を回復させたいんです。
その思いが痛いほど伝わってきます。
かといって、なんでもかんでも木村を持ち上げる
わけではありません。
あまりに気が緩んで、ろくにトレーニングもせず
前日に大酒を飲んでる木村に対し、万全の
調整をして戦いに臨んできた力道山の
勝負に対する執念を評価しています。

その他、格闘技界の有名人が多く出てくるのも
嬉しいですね。合気道の達人、塩田剛三とか
ゴッドハンド大山倍達なんかは、今では
「笑い」の対象になる場合もありますが
塩田は木村の親友であり、大山は木村の
弟分です。弱いわけがないんです。
あの木村政彦が認めた人たちなんですよ。
間違いなく強いんです。

ヒクソンやホイスの父、エリオ・グレーシーとも木村は
戦い、エリオの腕を実際に折りました。
もともとグレーシー一族に対して偏見を
もっていた私ですが、木村政彦が対戦後、
「試合には勝ったけど、勝負に対する執念は
私の完敗だった」とか、「今の日本にグレーシーの
寝技に対抗できる柔道家はそうはいない」など
木村が素直に認めてるんで、私も考え方を
あらためました(笑)

「なんでもアリ」の格闘技についても
いい事を言ってます。
もともと最強が柔道(寝技)とはいえ
素直に「打撃」の重要性を説いています。
柔道家(柔術家)は捕まえたら最強だけど
捕まる前に打撃をいれる事ができれば
ボクサーや空手家が最強であると。
だからこそ、今の柔道家は、とにかく
打撃の練習をしなければいけない、との事。
最強という事がわかってるから言える言葉なんです。
普通は「柔道(寝技)最強!」で終わりですが
貪欲なんですよね。

いや~、久々に魂を揺さぶられる本でした。
それにしても、木村政彦ってカッコいいですね。
まわりの人たちも魅力的な人ばかりです。
もちろん力道山含めて。
こんな人たちが日本にいた、というだけで
嬉しくなってしまう本でした。

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