魂が震える「少年時代」です

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ついに藤子不二雄Ⓐ先生の傑作、
「少年時代」を手に入れました。
何度か分冊されたものとかバージョン違いは
目にしていましたが、愛蔵版が欲しかったんですよね。
ようやく見つけたので喜んで確保しました。

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この分厚さ!(笑)
ほとんど辞書というか、普通に枕になります(笑)

実は恥ずかしながら、この作品はきちんと読んだ事が
ないんですよね。
幼少の頃、少し読んだ事はあったのですが
物凄くイヤな気分になって途中で読むのをやめたのです(笑)
「はだしのゲン」と同じというと語弊がありますが、
ようは戦時中の息苦しさというか先行きに暗雲が立ち込めた
かのような物語が読んでて辛くなってくるんですよね。
映画も観た事がありますが、私の記憶では映画版は
なんかソフトな印象だったように記憶してます。
やはりⒶ先生の魂がこもったあの画あってこその
作品であります。

今更ストーリーの解説云々はしませんが、
似たような経験を私もしてるんですよね。
過去に何度か書きましたが、あらためて紹介します。

当時、大都会(?)であった神奈川県川崎市から
埼玉県の某市(群馬の県境)に転校した私は
転校早々にクラス全員からイジメを受けたのですが、
学年を取り仕切るような不良と、ひょんな事から
仲良くなったおかげで、誰も私をイジメなくなりました。

あの時、クラスを仕切ってたヤツは、この「少年時代」の
タケシとかぶりますが、それよりももっとよく似たヤツが
いたんですよね。(以下、D君)
クラスは違うのですが、ある意味で私が転校して最初に
仲良くなったヤツです。
私の家は父親の仕事で埼玉県某市に引っ越したのですが、
その時に住んだ家の大家がD君の家だったのです。
その関係で、最初に仲良くなったのですが、
今考えればバカなやつと知り合ってしまいましたね。

6人ぐらいの友人グループの中に私も混ぜてもらったのですが、
D君はそのグループの中に君臨するボスでした。
たしかに頭は良く、スポーツも結構できたので、
周りの私たちを完全に格下扱いしてたんですよね。
上下関係が発生すると友人ではありません。
もちろん年齢とかキャリアとかで友人関係でも
上下関係のようなものはありますが
それは目下の人間が好んで目上の人間を立てるものであり、
イヤイヤながらとか強制的とかでは崩れてしまいます。

家もお金持ちでした。家でスリッパ工場を経営しており、
サイドビジネスのような感じで不動産管理もしてたのです。
だから、子供のくせにキャノンのA-1を持ってて
私たちによく自慢してました。
みんな影響を受けて、カメラに興味が湧きまして
私も欲しくなったのですが、心の底でD君の使う
キャノンと同じではイヤだからミノルタのXー700を
手に入れました。ほかの友人も、父親の一眼レフを
借りたりしてたのですが、その中のU君(彼は温厚で私と
一番仲が良かった)もカメラが欲しくなり、
更に父親から、「どうせ買うなら一番いい機種買えば、
後悔しなくなるぞ」とアドバイスされ、キャノンのフラグシップ
モデルである、F-1を買おうとしたら、D君はメチャクチャ
怒ったんですよ。ようは自分のA-1よりもF-1のほうが
上位機種ですからね(笑)

露骨なイジメ(無視など)をおこない、私たちにも強制し、
結局D君はF-1を買わず、A-1より劣る、AE-1プログラム
という機種を購入しました(それでも立派な機種ですが)

その頃から、私はD君の仲間に入ってるのがイヤで
たまらなくなり、ある時にD君からの命令を完全に無視し
グループからの離脱をおこないました。
D君以外の他の仲間たちとは普通に話をしますが、
D君本人とは一切口を聞かないようにしました。
とくに報復的な事もなかったし、決断して良かったと
思ってます。
D君と付き合って、良かった事は、友人関係の中でも
上下関係を作りたがるバカが世間にいる事を
教えてくれた事ですね。それとカメラに興味を持つ
キッカケにはなったので、それは感謝してます(笑)

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漫画の中でも、暴君であるタケシが
みんなから逆に囲まれてしまいます。

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まさに袋叩き(笑)
殴られてるシーンを描かなくても
輪の中がどうなってるかなんて
想像がつくようなコマですね(笑)

今、この年齢になったら、ある意味で楽しんで読めるのですが、
学生時代とかだと、あまりにリアルすぎて、読むのが
辛くなりますね。
このタケシの性格というのは、ある意味で人間(とくに若いころ)
誰しもが持ってるものであり、それが表面に出るか出ないか
だけなんですよね。さらに大人になれば、それらの暗部を
うまく隠す術を持つようになるというか。

人間だれしもが持つ心の闇の奥深くを
丹念に掘り起こすかのような作品であります(笑)

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この記事へのコメント

2019年12月13日 18:29
A先生、渾身の作です。もうひとつのまんが道というのか、まんが道以前のA先生の思い出というのか。
柏原兵三の「長い道」も併せて読まれることをお勧めしますが、こっちはさらに暗くてどぎつくて救いがないというか、戦前の田舎の子供は純真だったなんて幻想を見事にぶち砕いてくれます。

さて、A先生の「少年時代」
最初はタケシがいやな奴だなあ、と思っていたのですが、だんだんとタケシの苦しい立場もわかってきます。
地元のボスという立場上、進一と親しくするのも節度が求められるし、さりとて都会の知識とスマートさを持ち合わせた進一とは親友になりたいし、家が金持ちの優等生が復帰してくれば自分の立場が危ういし、畑仕事はしなくちゃいけないし。

それに比べると進一は、「タケシくん、どうしてなんだい」なんて自分のことしか考えていない子供に見えてきます。実際に子供ですし、子供でなくても人間は自分のことで精一杯ですから。
「まあ、タケシも難しい立場だよなあ」なんて忖度は、大人の読者の余裕でしかない。

タケシの苦しい気持ちは、子分が進一から取り上げたベルトを、自分のものにするために召し上げた形にして、あとでこっそりと進一に返しにくるところに現れています。進一はそこまでわかっているのかどうか。

ラストシーン、切ないですね。
タケシのその後のエピソードは、スティーブン・キングの「スタンド・バイ・ミー」のクリスに通じます。

オジサンは、悲しいよ。

2019年12月13日 21:48
出ちゃっ太さん、どうもです。
この少年の頃の微妙な心理描写が
本当に素晴らしいですよね。
どの登場人物にも、自分の一面が垣間見れる
部分があり、そのあたりはA先生の真骨頂ですね。
それにしても、この「少年時代」は何度でも
読み返せるほど気軽な作品ではないですが、
読む時は心してかかりたいぐらいの作品ですね(笑)